巷にはおしゃれなカフェが沢山ある。しかも、ただおしゃれなだけじゃなく、猫カフェやコスプレカフェ等コンセプトカフェなんかもあるので、今の時代お茶を飲みながらおしゃべりしたり、待ち合わせで時間を潰す場所という概念は少々古いのかもしれない。
しかし、それでも昭和の時代から今日まで営業されているお店も多くある。
私は若い子が集まりそうなオシャレなカフェも好きだが、幼い頃から慣れ親しんだ純喫茶の方がどちらかと言うと好みだ。
今回はそんな昭和レトロなエモーショナルな店に行きたいと思いついたので、早速街へ繰り出す事にした。NOPLANNERらしく適当に愛車を走らせているが、なかなか良さそうな喫茶店が見つからない。仕方がないのでナビで最寄り駅を検索すると、新京成線〈常盤平駅〉が近くにあるので目的地にすることにした。
大抵の駅の近くには喫茶店がある事を知っているので、言わば最後の手段を取ることにしたのだ。
常盤平駅に続くけやき通りという団地の間を抜ける道を走っていくと、今回紹介させていただく【珈琲園】が右手側に見えてくる。
場所は千葉県松戸市常盤平3丁目29−1団地一階のテナントスペースだ。駐車場が見当たらなかったので適当な場所に車を停め店員に確認すると、団地横の道は路駐して大丈夫なのでそこを利用してほしいと教えてくれた。
(ただし、交差点5m以内に停めると駐禁を切られてしまうので注意して停めて下さい)
車を停め、【珈琲園】の外観を改めて見てみると、壁際には窓を隠すように木の箱や無造作に置かれた花瓶が数個置かれ、傘立てには客が忘れていった物なのか、隙間なく並ばれている。入口前にもワイン樽や、捨て場所に困った何かの部品なのか、それともオブジェなのか?が無造作に置かれているのでパッと見、骨董品屋を思わせる外観だが、店内に入ってみると外観からは想像出来ない木を基調としたクラシックな雰囲気だ。
入口横には10人掛けくらいのテーブル席があり、左奥にはカウンター席が5、右奥にテーブル席が5つの広さだ。4人掛けのテーブル席に座ると、先程、駐車場所の案内をしてくれたお姉さんが水とおしぼりを持ってきた。
「当店に来るの初めて?」と質問されたので「逆に見た事ありますか?」と伝えると、一度カウンターに戻り、アクリル板に挟さまれた少々重めのメニュー表を持ってきた。
【珈琲園】オススメは9:00〜23:00までやっているモーニングセット(600円)飲み物はメニューに載っている好きな物を注文できると言うので、水出しアイスコーヒーをお願いした。
アクリル板メニューを退けると、テーブルの天板に、2箇所左右に二重に円が書いてあり、その内円部分に珈琲豆が入ってる事に気付いた。なるほど、真上から見るとコーヒーカップが並んでるように見えるのか。粋なテーブルの持ち主はどなたかとカウンターの奥を覗き込むと、年は70代中頃だろう、マスターが忙しそうにしながら、時々カウンターに座っている常連客の相手をしている。
辺りを見渡すと1人で来ている年配の常連客がすでに4人ほど座っており、何を考えているのか分からないが、各々がある一点をじっと見つめたままゆっくりとした時の流れを楽しんでいるようだ。テーブル横の壁にはオブジェが飾られるスペースがあり、そこには今となっては見かけなくなってしまった沢山のレコードが置かれている。
今日はその中の選曲だろうか、スピーカーからは小気味良いテンポのJAZZサウンドが響き渡る。普段JAZZを聞く事がない私だが、色んなラッパとか太鼓とかカスタネットみたいな音を聞くと
(気がつきゃ俺も随分とダンディな大人になっちまったな)
と言う気分になる。JAZZを聴きながら、右手でビートをきざんでいるとお姉さんがアイスコーヒーを運んできたので、(あっ、そうだ!チップを渡そう)
とダンディな事を思いついた。スマートにサッとチップを渡す。これが出来てこそ一流のダンディってもんだ。しかしお姉さんはアイスコーヒーをテーブルに置くとすぐに戻ってしまったので、次来たタイミングでチップを渡す作戦にした。
スマートにサッとチップを渡す為には、予め手元にチップを準備しておかなければならい。私はズボン右ポケットから垂れ下がった長いチェーンを引っ張り、長年愛用しているPIKOと書かれた三つ折りの財布を取り出した。
マジックテープをベリベリと剥がし開くと、千円札1枚、10円玉8枚、1円玉3枚の計1.083円の所持だと知る。このうちいくらを渡せばいいのだろうか?端数の83円か?83円のチップははたしてダンディな金額なのか?確か本場アメリカのチップの相場は1ドルだと耳にした記憶がある。という事は100円玉を渡すのが妥当になる訳か。生憎、100円玉を持ち合わせていなかった為、またチャンスが訪れた時には、スマートにサッと100円玉を渡そうと思う。
続いてお姉さんはモーニングを運んできた。
白い小皿に食パン1切れ、一口サイズに切られたトマト、パイナップル、バナナ、そしてゆで卵1個が盛られている。それではいただきます。食パンはダブルソフトのようにふっくらとしており、たっぷりと塗られたマーガリンの程よい塩っ気がパンの甘みをより際立たせてくれる。
私はそのまま食べてしまったが、バナナを挟んだり、ゆでたまごとトマトを挟んでサンドイッチにして食べても美味しいと思った。
続いて水出しアイスコーヒーをジュルジュル飲んでみると、さすがは珈琲に拘り抜いたお店【珈琲園】今まで飲んだことのない豆の濃さだ。酸味は無いが、苦味と濃くが凄い。
私が今まで飲んできた水出しアイスコーヒーは、苦味が少なくすっきりとしたものばかりだったが、水出しでここまで苦味と濃くが抽出できるのは、特殊な豆を使っているのか?それとも何か特殊な技術があるのか分からないがさすがプロだと思う。他にも紅茶やフレッシュジュースもあるので、珈琲が苦手な方でも安心してダンディズムを堪能できる。
今回紹介させていただいた【珈琲園】は、クラシカルな店内にJAZZが響き渡る大人のための喫茶店だった。「私にはまだ早いよ」って言う人も、手頃な価格で大人の時間を味わえるので、貴方も大切な人と一緒にエモーショナルな空間を味わってもらいたい。
珈琲園 | |
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所在地 | 千葉県松戸市常盤平3丁目29−1 |
電話番号 | 047-386-7281 |
営業時間 | 11:30~23:00 |
それでは良い休日を。ふぉふぉふぉ。